STORY

BRETON誕生のきっかけ

日本には昔から馬肉食文化が根付いている地域がたくさんあります。九州は熊本や甲信越は長野や山梨であったり、東北は青森や福島など。もともと、馬肉(馬刺し)は高タンパク質・低カロリーといった栄養価に非常に優れたヘルシー食材として知られてきました。特に近年では世の中の健康志向に対する強い流れも加わり、以前にも増して食卓でも馬肉(馬刺し)が消費される機会が増えてきております。

実は、その需要の大半を支えているのは海外から輸入される馬肉なのです。日本における全体消費量の約9割近くはその輸入馬肉によって成り立っていると言っても過言ではありません。馬肉メーカーである私達は、雄大な自然に囲まれた南米アルゼンチンをはじめ世界各国から馬肉を輸入し、それらを自社工場で加工した後、全国の飲食企業や専門店、各スーパーマーケットなどと取引を行っております。

さて、BRETON誕生のきっかけとなったお話についてですが、それは偶然に目にした一枚の写真から始まりました。そこには高々と積み上げられた馬皮の山々が写っていました。ある時、その写真について現地のアルゼンチン生産者に尋ねてみたところ意外な言葉が返ってきました。「アルゼンチンではよく牛皮は牛革に鞣され活用されているけど、馬皮についてはキズが多いせいか、ほとんどが廃棄されているんだよ」と。その時、 馬を生業とする我々とっては何か違和感のようなもの感じたことを憶えています。キズがあるのは生きていた証であり、それはとても尊いこと。ならばそのキズをあえて生かし、何かにUPCYCLEできれば、それは馬にとってとても幸せなことではないかと。いずれにしても、ますば現地アルゼンチンにて馬皮から馬革へと鞣す場所探しからのスタートでした。

そうこう模索し続けていたある日のこと、幸いにもすべて点が1つの線として繋がる瞬間が訪れることになります。それは一度は廃棄されかけていた馬皮に「新たな命」を吹き込むチャンスが生まれた瞬間でもありました。今思えば、それは偶然だったのか、それとも必然だったのかは分かりません。ただ1つ言えることは、BRETON立ち上げから今に至るまで、携わって頂いた全ての方々の思いやご協力がなければ、今のBRETONが誕生することはなかったということです。

アルゼンチンならではの独自の鞣し技法に、日本の職人技を融合させ「BRETON(ブルトン)」。常に進化し続け、ひときわ存在感を放つ「名馬革」に育てていきたいと考えております。

UPCYCLE & ARTISAN

偶然がもたらす価値と職人技の融合

アルゼンチン馬革は、ジャクソン・ポロックのアクションペインティングを連想させてくれます。その表面が、無造作に白いペンキを塗りたくったように見えるからかもしれません。
実はこの味わい深い表情は、毛を処理するために手でふりかけた石灰による偶然の産物なのです。 染料や顔料で染めることなく、アルゼンチンタンナーによって施された独自の製法。同じパターン(模様)が一切存在しないアルゼンチン馬革は、もはや1つ1つが芸術的絵画そのものかもしれません。

そんな様々な表情をもった馬革1つ1つに対し、丁寧に見合った形を作り込むのが日本職人の技の見せどころ。とても繊細かつ緻密な感性が必要とされ、1馬1馬とじっくり対峙しながら最終形をイメージし作り上げていきます。これはもはや熟練された職人だけが成し得る業かもしれません。

HANDMADE

様々な技法へのこだわり

BRETON製品の1つ1つには、熟練された職人の様々な技法がたくさん織り込まれております。

①Hand-sewing(手縫い)

革製品を作る上で、手縫いは時間や手間がかかり過ぎるため、一般的にはミシンを使用することが多いかもしれません。ただ、BRETONではあえてミシンは使用せず、手縫いにこだわり製作しております。その最大の理由は、通常ミシンでは行えない(縫えない)工程が手縫いでは行える(縫える)という利点があるからです。工程上、ミシン縫いでは作りや見た目に変更を余儀なくされる場合でも、手縫いであればそれを可能とするからです。また、手縫いには上糸下糸が無いため、ステッチの強度が格段に上がるという利点も手縫いにこだわる理由かもしれません。

②Glazing(丸柔磨き仕上げ)

通常、革を裁断した後の断面に対しては「コバ磨き」という工程を入れ、綺麗に磨き整えていきます。その後、特殊な顔料を用いて最終的に仕上げていきます。ただBRETONでは一部の製品を除き、この手法は行わず、【丸柔磨き仕上げ】なるもの行っております。それはとても時間や手間がかかる手法(業)ではありますが、経年変化していく馬革に対し、少しでも長くその断面を良い状態に保つためにはとても重要な手法(業)であると考えているからです。

③Reins Knot(レインズノット)

これは7mm幅に裁断された馬革紐6本を、紐編み専門の職人が1つ1つ手作業により仕上げたもの。馬の手綱から生まれた日本古来の結び技に通じる独自の編み手法の1つ。引っ張れば引っ張るほどきつく絞まる結び手法は、BRETONのアイコニックな技術の1つと言えます。